一枚のレコードを回すと、昭和のレトロな曲が流れ始める。
テーブルにコーヒーメーカーを置き、コーヒーが出来上がるのを待つ。
コーヒーが落ちてコーヒカップに注ぐ。
今日も自負的な一日が待っている。
男はコーヒーにおもむろに愛情を注ぎ満足気にカップを口にした。
アルコールランプの蓋を閉め、お気に入りにまた一つ年輪が増した。
流れていた音楽は、美空ひばりの柔道一直線。
昭和の高度成長期もあり、華やかな空気が流れていた頃だ。
男は目を閉じ物思いにふけっている様子で酔いしれ、
曲が終わったとき、
B面は聴かず、コーヒーのみ堪能する。
そして少し、
二口、三口飲み、
レコードを替えた。
ダイアナだ。
曲が流れると男が飲むスピードも速くなった。
そこで焼き立てのクッキーを出し、
味も渋みが出て男の顔に一筋の涙が伝った。
クッキーの甘味が優しく思えたのだろうか。
by G.
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